講演会報告

テーマ「日本人マネージャーのための労務管理講座」

サブタイトル「タイ人スタッフの能力を引き出す方法」

    日時 :2000年2月10日 

  

    於 :  Le Royal Meridien(旧プレジデントホテル)

  

    講師 : シリウス インターナショナル社長 

         杣谷 一紀(そやま かずき)氏(元ソニータイランド社長)

    主催 : Jetro Bangkok

講演内容趣旨

(1) 自らの経験をもとに日本人が直面する次のような問題について、

  タイ人を責めることなく分析し、その対策を具体的に示してくれた。

       1.報告・連絡・相談をしない。

      2.理解できても質問しない。

      3.自分から積極的に発言・提案をしない。

      4.問題、責任を回避する。

      5.管理、計画能力の欠如。

     

    (2) 教訓に残る主な内容

     イ.改革を阻害する最大の要因と対策

      〇過去の経験

      〇常識

      〇現場不在

      この項ではトップが現場に行くよう繰り返し強調していた。

    ロ.「報告・連絡・相談」つまり、部下の義務、報連相対策

      〇トップ自らが現場に行き、現物で部下と対話を図る。

      〇反復による反復

      〇ほめる、とにかく良い面を見つけ出す。

      つまり、おだてる、ほめる、その気にさせること。

    ハ.「グレンチャイして人に迷惑をかけない」の心により質問しない、

      わからないと言わないことが悪いことと思っていない。

    ニ.人事担当者は次の人を雇わない。

      〇自分を越える人。

      〇美人な人。

      〇性格のきつい人。

      〇問題を提起する人。

    ホ.仕事の背景をしっかり説明すること。具体的には次の通り。

      〇なぜそれをやらなければならないか。

      〇それをやることにより何を期待できるか。

      〇なぜ、それをいつまでに仕上げなければならないか。

   (3)「がんばってくれる人をどのように育成するか」のテーマに次のように

     述べた。

    イ.「タイ人は義理と人情の世界で生きていく民族である」と定義づけ、

      上の人は下の人に「慈悲の心」をもつ、下の人は上に「感謝の心」

      を持つ。Prakhan(慈悲)。

 

     ロ.Pradej(地位に備わった権威)と寛容心を持って施す行為。

 

     ハ.やる気の源泉

       〇自分、及び家族の将来

       〇自分はなぜこの会社で働くのか

       〇企業理念と夢を抱かせる。

       〇トップが現場で指揮する。

       〇競争の原理を取り入れる。

       〇現物でタイ人幹部と「対話」を計る。

    ニ.タイ人の心を理解するには、幼児教育までさかのぼらなければなら

      ない。

    ホ.タイ人は「心の自由、心の独立」を大切にする。

 

 

  ◎感想

  (1)「秘書を2人雇い、1人は仕事を指示、1人は仕事の結果を持って越さ

     せる役を与えた」という話をしてくれたが、タイ人スタッフは2つの

仕事が同時にできない、という事実を示しているようだ。

  

  (2)販売会社での経験をもとによく研究しており、タイ人を理解する上で、

大変有意義な話しでした。

  (3)辛口批評としては、話しの内容が大変広範囲に渡り、多くの事例を話し

たため、結果的にコーヒーブレイクも含め,3時間という長話になった。

当日レジュメがないためノートをとらないビジネスマンは、この貴重な

話が左の耳から右の耳に抜けなければ良いが…。

  (4)JCCでの「所報」で、講演内容を紹介してほしいもの。

   ◎余録・・・話の内容でのタイ語のキーワード

     

      1.クレングチャイ

     2.メーター カルナー

     3.Pradej

     4.Prakhum

     5.サムルワット

     6.バラミー

     7.報・連・相