2001年10月8日

海援隊01年10月例会

タイで日本の中小企業がうまく儲ける方法

 小林株式会社
代表取締役  小林 豊 氏


1.自己紹介
小生の略歴は、大學は建築学科を専攻した。いつ、どこでも先見の目で見て、判断することが大切である。
大學卒業後は大手建築会社の就職を考えたのだが、家をドンドン建築してしまえばどうなるかと考え、辞めるに至った。結果、大學卒業後は母校で教務技術職員として勤めた。その経験がタイ語の辞書作りに生かせた。しかし、大學勤務は自身の肌に合わず2年間で辞めた。その後、横浜市役所・衛生局(中区)に就職し、ビル管理などの環境衛生を担当した。この職場は夜の取り締まりがあるので同僚がやりたがっていた。10年間勤務した。団塊の世代はいつまでいてもポストがない。役所は仕事の出来る人が必ずしも上のポストに就くとは限らない。ペーパーの成績で決まる社会である。
26〜27歳のころタイに旅行に行った。先見の目が働いた。タイにはトヨタ、ホンダ、味の素などの企業が進出していた。将来タイは伸びると感じた。タイに行った2年後にタイブームになった。(1986〜7年ごろ)
当社は1985年5月に設立した。
現在の仕事は日本人駐在員の家を斡旋する不動産屋である。駐在の日本人が住む家は、日本では住めないような立派な家である。役員待遇の家に住む感じである。 単なる斡旋屋に終わりたくないということで仕事の合間に本を発行した。「タイビジネス入門」はその本があるかないかで他社と差がつくような内容に仕上げた。辞書やテキストも作成した。自分の生活費は印税で賄える。
タイのことを知りたい人は是非私のホームページを見てほしい。このホームページは他と比べて内容が劣れば10万円差し上げる。
http://www.kobayashi.co.th

2.テーマについてのコメント
テーマにあるようにそんなにうまくいく話はない。
タイの習慣、文化を理解し、従うことである。「郷に入れば郷に従え」と言われている通りである。
どの国に行っても同じである。 日本人と現地スタッフとのトラブルは日本の感覚で考え、対応するため、現地スタッフには理解できず、生じるのである。日本と同じ考えでは駄目で、外国に行ったら外国のやり方に従ってやることである。
余談であるがタイ人は日本人の宗教は仏教ではなく、神道と思っている。日本の仏教はお坊さんが妻帯であるなど、タイ人には理解できないのである。

3.中小企業が生きる道
故田中角栄首相秘書の早坂氏は中小企業が生き残るためには、
(1)大企業の系列に入る。
(2)アイデアなど特徴を生かす。隙間を狙う。長時間働く。
(3)三つ目は覚えていない。
があると言っていた。

4.社長としての資質要件
中小企業はトップである社長で決まる。No.2にいい人がいても社長がしっかりしなければ駄目である。このことはどの本にも書いてある。経営者がお金を数え始めたら、その会社は潰れる。そんな暇があれば営業の仕事をすることが大切である。相手が何に興味があるか。その人に合った話をすることが必要である。マーケティングなくしては経営は失敗する。先見の目を養うためには本を読むことである。多忙だから読まないというのは詭弁である。少しでも良いから本を読むことである。会社がピンチの時に判断を誤らないようにしなければならない。
いかに実践するか。実践できない人は凡人である。
(注)講師がレジュメに書かれている資質は、「先見の目」「知識」「判断」「体力」「資金」を挙げておられる。

5.タイ進出で成功するために
(1)情報収集
マーケティングで正確な情報を収集する。外国では情報収集をどれだけ時間をかけて行ったかで決まる。タイに派遣された人がどれだけの情報を収集し、日本にいる社長に報告できるか。現地と日本の情報のギャップをどう埋めるかが重要である。
マーケティングを十分にしないため、失敗し、撤退した日本企業が多い。
(2)やる気
やる気のある人が駐在員として派遣されて来る。しかし、アフターファイブが楽しくて仕方なくなり、誘惑に負け、出世ラインから外れてしまう人もいる。

6.その他
(1)先輩の失敗事例を学ぶことである。   
IBMは小生がタイに進出したころは飛ぶ鳥も落とす勢いであった。今は落ち込んでいる。ビジネスの厳しさを感じる。
IBMの失敗の原因は良い製品を安く提供するという基本理念をおろそかにした。消費者のニーズに正直でなかったからである。
(2)当社の社訓は「ホウレンソウ」である。
これが出来る部下は社長が勤まる人である。「報告、連絡、相談」という簡単な言葉だが、実行が難しい。

当社は系列に入っていない。自分で仕事を取ってこないと駄目になるので常に頑張っている。コネについてはオフレコで聞いてほしい。(オフレコにつき報告できない)

[記録者からのコメント]
大変気さくで、わかりやすいお話であった。郷に入れば郷に従え、社長の資質などは当たり前とは言え実践できていない人が多いと思われる。「タイビジネス入門」の本を頂いたが痒い所に手が届くほど詳細にまとまっている。

           
(記録者)
イングコンサルタンシー 高橋栄一