アパートを決め借りる段階になると契約書が必要となります。オーナーが用意した契約書にサインがかわされるが、ここでは借主が個人、又は法人とする場合のその相違点について説明します。法人契約、個人契約のメリット、デメリット、法律の解釈などを総合的に考えて判断するようお勧めします。
■ 現状
当社で紹介し契約したお客さんの90%は個人契約となっています。このデータで見る限り、個人契約が主流でメリットが多いと考えることが出来ます。ここで、検討に入る前に家賃契約に伴うVAT(付加価値税)と源泉税(with
holding tax)について次の通り説明します。
家賃契約に伴うVATと源泉税
注1)源泉税は、家賃の5%、家具代の5%、サービス料の3%
注2)貸主が外国人で、借主が法人の場合
注3)貸主がファンド会社の場合、VATが免除されており、上の表の通りではない。
■ 家賃契約に伴うVATと源泉
貸主が法人、個人、借主が法人、個人の場合を考えると合計4ケースに分ける事ができ、それぞれのケースによって税の取扱いが異なっています。よって、契約書の貸主・借主が、どのようなケースになっているかチェックする必要があります。
■ どちらを選ぶか
会社によって、家賃額を決め、本人に、自由に住居を決めさせている場合と、会社が住居について、管理してる場合の2通りあります。 法人契約、個人契約のメリット、デメリット、法律の解釈などを総合的に考えて判断するようお勧めします。
法人契約の場合の事務処理
個人契約にすると、会社側は家賃相当分を本人に手渡すことによって、会社としての事務処理は終わりますが、法人契約の場合、源泉税の処理作業が発生します。具体的には、家賃の5%分の源泉税を計算、プールし、残り95%の相当額小切手を発行します。
源泉税は翌月の上旬に、税務署に、貸主に代わって納税します。
借主は源泉税納入票と家賃(95%)を支払います。これらの手続きは煩雑なため、日本人の数が多い会社の場合、専門の担当者が必要になります。 貸手側が法人の場合、法律に基づいて会計処理を行うため借り手が法人、個人であっても支障はありません。一方貸手側が個人の場合、法人の借手を嫌います。なぜなら所得税の内容が税務署に知られてしまう恐れが生じるためです。
よって、貸手が個人の場合、法人契約を嫌い、物件を貸さないケースが発生します。又は、源泉税(5%)を上積みして家賃額を提示するケースもあります。
税法上の問題
個人契約、法人契約、どちらであっても、税法上は全く同じ扱いというのが、基本的な解釈です。一部に住居を会社名義にして会社が払うことによって本人への所得税を下げ、税は会社負担とするという考えがありますが、これは誤った解釈です。
国税法第40条によると、雇用主が無償提供した住居の家賃相当額も個人の所得に含む、と記述されています。よって、税法上、個人契約、法人契約にかかわらず個人の所得にかかってくるからです。
ただし、以上は法律上の解釈です。現実論から出発すると、会社の取締役以上のポジションに在職している人は、法人契約の方が有利になります。
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