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ドラフトとオリジナル |
契約を交わす前に必ず契約書をチェックする事、これは当然のことです。この場合、問題となるのが、契約書にはドラフトとオリジナルという二種類あるということ。これらを混合して考えている方がいます。
オリジナルで変更要求を出すとか、ドラフトがなくオリジナルしかくれないとか、チェックはオリジナルが重要とか、まあ、いろいろなことを言う人がいます。以下、これらの問題について説明します。 |
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(1) ドラフトとオリジナルの定義 |
ドラフトとは、契約文が書かれているが、契約日、貸主、借主、家賃などの枠が空枠になっている契約書をいいます。
オリジナルとは、契約文に契約日、貸主、借主、家賃などの枠がタイプ打ちされていて、サインを待つのみの契約書をいいます。
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(2) ドラフトとオリジナルの違い |
ドラフトは貸主、借主とも相方が内容についてリクエストをすることが可能です。 一方、オリジナルはその内容についてはもう変更を予定しておらず、最終契約内容です。もし変更を予定しているなら、それはオリジナルとは呼びません。 |
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(3) ドラフトの大切さ |
デポジットを払う前、又は同時にドラフトのチェックが必要です。これは、多くの場合、貸主が用意したドラフトであり、借主は事前に契約内容を見て、不満な内容について交渉する権利を有しています。
デポジットを支払った後にドラフトを見た時、とても不利な条文があったとしたら、その条文について交渉しなければならず、デポジットの返却まで話が及ぶことになります。よって、基本的にデポジットを支払う前にドラフトをチェックすることが重要です。(もちろん、サインする前まではデポジットはもどりますが、相手にもよりけり) |
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(4) ドラフトの位置づけ |
ドラフトは、あくまでもたたき台であって貸主、借主も相互にその内容を修正変更する権利を有します。よって、借主はデポジットを支払う前にチェックすべきで、チェックしないでデポジットを支払うと修正変更を要求する場合不利な立場に立たされています。このドラフトの段階で修正変更しない限りオリジナルを用意した段階で修正変更を要求できますが、それはオリジナルの否定につながります。何のためのオリジナルでしょうか?
オリジナルをチェックすれば良い、という人は、既に修正変更不可能な契約書にサインを強制されることを意味していることをお分かりではないのでしょう。 |
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(5) 備考 |
契約書はドラフトの段階でチェックすること。多くの企業では、デポジットの支払い前にドラフトのチェックを行っております。ドラフトをチェックせず、デポジットを支払うシステムは変更したほうがよいでしょう。 |