タイで日本のテレビを見る

 


タイで日本のテレビを見る
「ロケーションフリー・インターネットTVシステム」海外で日本のテレビを自由にみよう

■昨年10月よりソニーで販売開始された「ロケーションフリーテレビ」はボイスメール265号「タイのADSL」特集でも少しご紹介しましたが、海外にいても日本のテレビ放送をリアルタイムで見られるというものです。今回はどのようなものなのか詳しくご紹介します。

リアルタイムで日本の放送夢が現実に

 日本ではこの4月より携帯電話等の移動体端末でテレビ放送を安定してライブで見ることが出来る“ワンセグ放送”(地上デジタルテレビ放送)が始まり、話題になっています。今やテレビ放送はテレビで見るだけの時代でなくなってきているのかもしれません。
  しかし、海外に住んでいるとどうしても日本の映像情報からは遠ざかってしまいます。
この2月、トリノ冬季オリンピックで日本唯一の金メダルとなった荒川静香選手の“イナバウアー”は一体どんな風に体が反っていくのか、ニュース放送のアナウンサーの実況と静止画ではなくて、その瞬間を見てみたいと思いませんでしたか? 
3月に開催された野球の世界大会「ワールドベースボールクラシック」で、世界一となった王ジャパン。準決勝でようやく韓国を破った時の日本人選手の活躍をリアルタイムで見てみたいと思いませんでしたか? 
そして来る6月、サッカーのワールドカップが始まります。タイでもサッカーは大人気ですからテレビ放送はされますが、ジーコジャパンの活躍を日本語の熱い実況を聞きながら、応援してみたいと思いませんか?
 海外在住が長いとそんなことは夢と諦めに似た気持ちになっている方も多いかもしれませんが、海外に住み始めたばかりの方にとっては、大きなスポーツイベントが見られない事もさることながら、先週まで見ていたドラマの続きが見られない事でさえ悔しく思えることでしょう。
その諦め、悔しさを解消するシステムが、SONY「ロケーションフリーシステム」とSHARP「パーソナルサーバー・ガリレオ」です。まるでドラえもんのポケットから出てきたシステム?と思ってしまいますが、理屈は簡単で、しかも手の届く金額(本体価格約35000円)で実現し、さらには面倒に思える環境設定を代行してくれるところも出てきました。

どんなシステム?

 「ロケーションフリーシステム」は、要はインターネットを介して映像のやり取りをします。今までにもインターネットを介した映像のやりとりは、著作権元から映画やテレビ番組が有料で配信されるブロードバンドテレビやWEBテレビ、ファイル交換ソフトを用いて映像コンテンツをダウンロードする方法などがあり、既に多くの方が利用していることでしょう。
「ロケーションフリーシステム」はそれらの方法では実現できなかったテレビ放送の“リアルタイム視聴”(数秒の遅れはあります)を実現したものです。
言ってみればビデオ機の本体(ベースステーション)を日本の映像電波が届くところに置き、そこで受信したものを同時にインターネットで海外に送り、本体に対応している子機(プレイステーションポータブルや本体に対応したソフトをインストールしたパソコンでも可)で見るというものです。
本体に対応出来る子機の設定は2台までで、2台で同時に見ることは出来ませんから、あくまでも個人で楽しむ事を前提にしており、著作権や放映権の問題もクリアしているようです。

導入するには?

【インターネットの通信速度の条件は?】
 通信速度の推奨は300kbps以上ですから、タイでADSLに加入している方なら大丈夫です。
ただし新たにADSLに加入しようとしている方は現在新規加入者(特に格安プロモーションを利用しての加入者)が集中し、電話番号によっては数ヶ月待たなければならないようです。
また、人気のプロモーションを利用してのADSLに加入した結果、利用者が集中していて結局速度がとても遅くなってしまっているといった問題も出てきています。

【手持ちのパソコンの設定は?(最低どんなスペックならOK?)】
 パソコンはWindowsXPが条件です。ビデオカード(パソコンの画像を管理するチップの集合体)のメモリは最低16M程度あれば見られます。ビデオカードの容量は大きいほうが良い画質で見られることになりますが、通信状態によっては画像が止まってしまう事もあるので、通信スピードの安定も必要です。

【本体の設定、設置場所は?(頼める人がいる?)】
 本体の設置にはインターネットの接続等の必要性がありますから、やはりコンピューターに詳しい方にお願いしたいところ。 身内にそのような方がいれば問題ありませんが、そうでない場合には本体を購入し、日本で置き場所を借りる方法もあります。

実際の放送を見ました!

 基本的なことがわかったところで、実際にSONYの「ロケーションフリーシステム」の設置代行をしている「BEST OA」にお邪魔して視聴してきました。伺ったのは午後4時過ぎ、日本では民法各局で夕方のニュースを放映している時間です。
ノートパソコンを開いてネットに繋いで専用ソフトを立ち上げればもうテレビ!画面の横にチャンネル選択ウインドウが開きます。こちらでは本体を設置している場所が関西なのでチャンネルは関西仕様です。
そして、まず流れ初めたCMに新鮮な感動!日本語放送はNHKだけでしたから、日本語のCMを久しぶりに見ました。
 “日本の夕方”の象徴、6時からのニュース番組はその日のいろんなニュース映像が流れ、一瞬にして日本の1日を擬似体験したようでした。民放ならではのグルメ情報、野球中継なども登場します。その中で音声、テロップは問題なかったのですが、動きに関しては早い動きに対応し切れていない、もったりした感じがあったり、少し止まってしまう時もありました。
これは「BEST OA」岡田氏によるとメモリ(RAM)の大きさが影響していたり、ADSL利用者が集中することで通信速度が遅くなって起こるとのこと。確かにUBCでNHKを見るような画像と比べれば見劣りはしますが、内容は十分理解できるものでした。
何よりも、放映権の問題で見られないニュース画像を日本と同時刻に体験出来る事の感動には変えがたいものがあります。
 実際にこの2ヶ月間日本のテレビ放送をリアルタイムで見続けた利用者によると、「家に帰ればテレビをつけていた、日本に居た時代に戻った感じ」といいます。何はなくても日本語の放送が聞こえてくる環境というのは日本人ならどこかホッとするものではないでしょうか?
日本と同じように良い映像をキレイな画面で見たいという方には満足できないかもしれませんが、あくまでもリアルタイムで日本の放送を見たい、“日本の今”を見逃したくないという方のためのシステムといえそうです。最後に先輩利用者からは「日本と時差があることを忘れずに。ついつい遅くまで見て寝不足になったり、子供番組に付き合って朝早く起きて会社で眠くなるなんてことになりませんように」との注意が寄せられました。
                                 (文:編集部W)
(ボイスメイルNo.271 2006.4.26より引用)

■ SONYロケーションフリーテレビの詳細はhttp://www.sony.jp/products/Consumer/locationfree/index.html
取材協力:BEST OA   担当 岡田
TEL:0-2267-1609   0-2235-8424 0-2234-3062
■ ロケーションフリーシステム代金
本体購入費等を含む初期代金 18000B
毎月の本体設置レンタル代金  1600B